感覚を育てる

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絵本のカバーに記された素敵なメッセージ(フレーズ)を認めておきます。

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悲しい大人   立松和平
表現者は子どもの感覚を忘れたらだめだと思っている。しかし、人は悲しいかな育っていってしまう。育つにつれ、地面は遠くなり、高く大きかった空はどんどん狭くなってしまうのだ。地面から遠ざかれば、炎天下を自分の影を抱くようにして歩いている蟻のことや、土をわって下からふくらみだしてくる草の芽のことなどを忘れてしまう。
悲しい大人が、多感な子どもにむかって語るどんな言葉があるのだろうと、いつも考えている。私は子どもにもどりたい。

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一本の草   伊勢英子
自然の前で、私はたいていぼんやりしてしまう。口をあけたまま上ばかりみている。木々の枝を透かしてみえる空や雲は、スケッチするにはもったいない。木もれ日でだんだらもように染まったTシャツのまま草にねると、昔自分は、一本の草だったような気がしてくる。木に登ると、木だったようにも思える。川に足をひたして聞く光の音楽。風の声。鳥の歌。
あと一日ここにいたら、きっと私はどこにも帰りたくなくなる。私は、あわててスケッチブックを開く。

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山のいのち (えほんはともだち―立松和平・心と感動の絵本) https://www.amazon.co.jp/dp/4591033406/ref=cm_sw_r_cp_api_i_YRcrEb6QG8NW6